Sub6.戦術講座「浸透戦術」

歴史を変えた戦術である「浸透戦術」。これをサバゲーに落とし込むとどのようなメリットがあるのかを紹介したいと思います。

この戦術が生まれた第一次世界大戦頃の戦争は塹壕と機関銃による強固な陣地がお互いに設置され、睨み合いが続き長期化するのが当然視されていました。もちろん戦わなくても睨み合いが長期化すれば食糧だけでなく国内経済やらなんやらも大変です。

そこで短期決戦でもって戦争に勝利しようと旧ドイツ軍が編み出したのが今回紹介する「浸透戦術」、俗に言う「電撃戦」の大元です。

戦術の概要は「敵の抵抗の弱い部分に対して突撃を行い、前線を突破。そのまま突撃を続けて敵陣地の後方(つまり大砲陣地や指令所や補給陣地)まで進撃し、敵の後衛を殲滅することで、強固に守る前線の敵を孤立させ不必要な戦闘をせずに無力化させること」です。

サバゲーでは敵陣地の後方を「フラッグとその守備隊」として置き換えて考えてみましょう。

例えばフラッグ戦では人数比8:2ほどで前衛と後衛に分け、味方前衛は敵の前衛と戦う上に敵後衛とも戦いフラッグ奪取を狙うというのが一般的な戦術かと思います。

両チームともおおよそ同じような戦術を採る場合が多く、前衛はなるべく前衛同士で戦い、どちらかが壊滅するまで戦闘を行ってから、味方の後衛と共に敵後衛およびフラッグの攻略に向かうわけです。

つまり、前衛がどうにかなるまで後衛は「遊兵」と呼ばれる戦力に数えない部隊と考えられるわけです(もちろん自陣の警戒防御をしているので役に立っていない訳ではないですが、味方前衛に直接的な支援をしているわけではないので)。

これに対して「浸透戦術」の考え方を落とし込むと、人数比6:4ほどで突撃隊と支援隊の二つに分け、支援隊は敵の前衛と交戦し足止めを受け持つことで突撃隊を支援します。

突撃隊は支援隊の動きを受けて敵の前衛をなるべく無視するか、抵抗の弱い部分を突破し、そのまま迅速に敵の後衛およびフラッグを強襲することを目標とします。

…お気づきかもしれませんが、浸透戦術は攻撃に全てを振り分けており、自陣のフラッグなんぞ知ったことかと言わんばかりの攻撃的な戦術になります。

重要になるのは、一般的に根付いている「まず前衛同士で決戦し、その勝者が相手のフラッグを奪取できる」という思考をうまく利用し熱中させることです。

前衛として配置されたプレイヤーは何としてでも相手の前衛を打倒しフラッグを取りたいという意志に燃えているため、そこに支援隊が先制攻撃を加えることで支援隊を前衛だと誤認させるのです。

支援隊は突撃隊が、敵の後衛とフラッグを襲撃し終わるまで遅延行動(少し後退しては反撃したり、制圧射撃を繰り返すなど)を駆使して囮となります。

人数的に1:2ほどの戦闘を強いられる支援隊は敵の前衛に撃ち勝つことよりも如何に時間を稼ぐかがポイントになります。

そうして敵の前衛を支援隊が受け持っている間に、突撃隊はその戦力全てを残したまま、支援隊が壊滅する前に敵の後衛とフラッグ奪取へ一直線に突撃していくわけです。

この例通りだと(互いのチームが10人として)、支援隊は4人で敵前衛8人を押しとどめることになります。1:2という比率は連携しあい、地形をうまく利用すればそれなりの時間耐えられる比率とされています。

逆に突撃隊は6人で敵後衛2人を襲撃すればよいことになり、3:1の比率となるのでよほどのハプニングが無ければ局地的に負けることはないでしょう。

この「浸透戦術」は非常に強力な攻撃性でもって相手チームに主導権を取らせにくいこと、参加しているメンバーそれぞれが自らの任務を把握しやすいのが大きな特長と言えるでしょう。

とはいえ、絶対に貫く矛にも弱点はあります。次回はそんな歴史を変えた戦術をご紹介したいと思います。

《ミリタリーオウル》

本サイトはサバゲーを分隊単位で戦うことでよりタクティカルに楽しんで勝つことを目的として、軍の教範の一部や戦術学を筆者の経験と解釈でどのように活用するかを紹介しております。 ステップを読み進めるごとに内容が把握できるようにしておりますのでできれば初めからお読み頂けると幸いです。

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